ストーリー– category –
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老後の数字を見たあと、スマホをそっと伏せた夜
夕飯のあと、リビングの電気だけがついていた。妻はキッチンで水筒を洗っていて、子どもたちはそれぞれの部屋に戻っていた。テレビの音だけが、少し小さく流れていた。 ぼくはソファに座ったまま、スマホで「老後 生活費」と検索していた。検索するつもり... -
習い事のプリントを見て、すぐに返事ができなかった夜
「これ、やってみたい」 子どもがそう言って、ランドセルから一枚のプリントを出した。 夕飯の準備をしている途中だった。私は片手でフライパンを持ったまま、もう片方の手でその紙を受け取った。 サッカー教室の体験案内だった。 楽しそうな写真。大きな... -
子どものスマホにため息をついた、放課後のマクドナルド
夕方のマクドナルドは、学生の声で少しにぎやかだった。 ポテトの匂い。トレーを置く音。隣の席から聞こえる笑い声。 窓の外は、もう少しずつ暗くなり始めていた。 子どもは学校帰りのリュックを足元に置いて、スマホをのぞき込んでいた。私は向かい側で、... -
肉も買ってないのに、4,126円。スーパーのレジで息が止まった夜
「4,126円です」 レジの人の声が、やけにはっきり聞こえた。私は財布を開きかけたまま、ほんの一瞬だけ手を止めた。 4,126円。そんなに買っただろうか。 カゴの中を見た。豆腐、卵、牛乳、食パン、もやし。 明日の朝に使うものと、今日の夕飯に出すもの。... -
レシートを見ずに捨てた夜、ほんとは全部わかっていた
スーパーの袋を、台所の床に置いた。 中身は、いつもと同じだった。 豆腐。卵。牛乳。食パン。もやし。明日の朝に使うもの。夕飯に出すもの。特別なものなんて、何もない。 それなのに、袋は少し重かった。 買い物の帰り道、ずっと思っていた。 「今日、そ...
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